新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金の収益計上時期

国税庁のホームページで公開されている「新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係」では、主に法人税などに関わるFAQが公開されています。

今回はその中から「新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金の収益計上時期」について紹介します。

概要

質問の内容は以下の通りです。

当社では、日本政策金融公庫から「新型コロナウイルス感染症特別貸付」による融資を受けることとなったため、併せて、新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度による利子補給金の交付を申請し、その交付を受けました。
この利子補給金として交付を受けた金額は、その融資に係る利子の3年分に相当する金額です。この交付を受けた金額の全額を、交付決定日の属する事業年度の収益の額として計上しなければなりませんか。

新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金の収益計上時期については、対象となる融資に係る支払利子の発生に合わせて、その発生する支払利子相当額を収益の額として計上することとなります。

法人税の所得金額の計算においては、原則として、収益計上時期はその収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条より)。通常の利子補給金の収益計上時期も、基本的に交付決定日の属する事業年度となります。

そのため、特別利子補給制度により最長3年分の支払利子相当額の交付を受けた場合も、その全額が交付決定日の属する事業年度の収益として計上しなければならないように思えます。

ここで注目したいのが、特別利子補給制度の特徴です。特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、その融資により発生する支払利子を最長3年間実質的に無利子とすることを目的として交付されています。

この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、交付決定日には利子補給額が確定していないことになるので、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。また、通常の補助金と比較して、手続きなどにおいても異なる仕組みが設けられているのも特徴です。

よって、特別利子補給制度においては、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられるため、その支払利子(費用)の発生に応じて、同額の収益を計上することとなります。

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